猫はコインを貯める       リリアン・J・ブラウン著   ハヤカワ・ミステリ文庫

 『もと新聞記者クィラランのいま一番の関心は、昨年爆破され、ようやく新装オープンしたホテルと、そのスイートルームに宿泊する謎の宝石商のこと。が、宝石商が殺され、宝石とアシスタントは行方不明に!好奇心を抑えきれないクィラランは調査に乗り出すものの、犯人の手がかりは全く掴めない。そんななか、シャム猫ココはクィラランの貯金箱からコインを盗み出し、得意顔…ココのいたずらに隠された事件の真相とは。
 シリーズ、えっと何冊目だろう?20何冊だと思う。ミステリとしてはもうぜんぜんお話にならないんだけど、クィラランの一代記として楽しんじゃってる、というか楽しめる人しか読めないと思う。クィラランの生い立ちが語られ始めた。マンネリでもなんでも読みつづけるシリーズだろうなぁ。(2003.1.4)





カムナビ上下       梅原克文著   角川ホラー文庫

 若き考古学者・葦原志津夫は、前代未聞の土偶を発見したとの報を受け、茨城県の石上遺跡へと向かった。しかし、現場には無惨な焼死体が転がっており、情報提供者とも連絡が取れなくなってしまう。彼は十年前に行方不明になった志津夫の父に関する情報も手に入れていたようだった。志津夫はわずかな手掛かりを頼りに調査を始めるが、徐々に、この事件が人類を破滅へと導く幕開けであることに気づかされる…。前人未到のスケールでおくる、傑作サイファイ・ホラー。

 『考古学者・葦原志津夫は、前代未聞といわれる青い土偶に秘められた謎と、行方不明の父の足取りを追い続ける。その頃、気象庁は各地で原因不明の異常気象を観測、NASAの探査機・ボイジャー2号からも宇宙の異変を示すデータが送られてきた。未曾有の危機は、ついに最終局面を迎える…。ヴェールに包まれた邪馬台国の真の姿とは?古代人は何故、蛇を神と崇め、円錐形の山を「神の火=カムナビ」山と呼んだか?すべての謎が一体となる「禁断の黙示録」、驚愕の最終章。
 上下合わせて約1300ページ。でも一気に読めちゃう。邪馬台国についての新説あり〜の、古代史、宇宙や天文学についての新説あり〜の、実に興味深い内容で、面白かった。この手のはともすれば説明が冗長なんだけど、そんなことはなく、人間もしっかり書けてるし(女性の書き方はいまいちかなぁ) 注目株(まだ4作) 続編を書ける余地を残した最終章で、続編もそのうち読めるかも。
 夜はなぜ暗いのか、考えてみたことある? (2003.1.17)



二重螺旋の悪魔上下       梅原克文著   角川ホラー文庫
『遺伝子操作監視委員会に所属する深尾直樹は、ライフテック社で発生した事故調査のため、現地に急行した。直樹はそこで、かつての恋人・梶知美が実験区画P3に閉じ込められていることを知る。だが、すでに現場は夥しい血で染め上げられた惨劇の密閉空間に変質していた…。事故の真相に見え隠れするDNA塩基配列・イントロンに秘められた謎。その封印が解かれるとき、人類は未曾有の危機を迎える!恐怖とスリルの連続で読者を魅了する、極限のバイオ・ホラー。
            
『二一世紀初頭。イントロンに封印された悪魔は解き放たれ、世界は焦土と化した。人類もまた、異形の物たちに対抗すべく最終軍を結成した。果たして、生き残るのはどちらか?人類の未来を賭け、悪魔の地下要塞に潜入した深尾直樹の運命は?そして、怪物たちは何故、遥か太古から人類のDNAに封じられていたのか?全ての謎がリンクしたとき、宇宙に秘められたる恐るべき真相が解き明かされる!斯界から大絶賛を浴びた壮大なバイオ・ホラー。』
 上記「カムナビ」の著者梅原克文の処女作。これが処女作というのはすごいんだけどぉ。。う〜〜ん。ま、大部な割に一気に読めちゃうことは読めちゃう。ありそうな未来をよく描いてるというべきなんだろうけど、結局はヒーローものにすぎないのね。アニメっぽいうそ臭さがどうもねぇ。。戦う相手が空想の怪獣じゃなくて「遺伝子操作で誕生した生命体」というところは妙なリアリティがあるんだけど、筋立ては平板で、伏線のかけらもなし。。「イエスの遺伝子」路線を狙ってるんだろうけど、「イエスの〜」の方がずいぶん幅と奥行きがあるよ。「カムナビ」で気になった女性の描き方はなぜかこっちの方がまし。 「神」について一貫した見方を持ってるのは面白い。(2003.1.31)



貴賓室の怪人       内田康夫著   角川書店
『世界一周クルーズに仕掛けられた罠。うごめく殺意の影。絶対不可能な状況の中で、犯人はなぜ凶行に及んだのか。浅見光彦と岡部和雄、二人の名探偵が船上の「罪と罰」に迫る。』
 この本の発行は2000年9月である。何ゆえ積読になっていたか。世界一周豪華客船クルーズに内田夫妻が3500万円かけて出かけたのは浅見光彦倶楽部会員には周知の事実。取材費で落とすのか税金対策なのか、ちょっとばかし素直に受けつけられないものがあるじゃない?(貧乏人のひがみか?)
 浅見光彦倶楽部会員への大サービス本って感じ。軽井沢のセンセがその世界一周をしたのはわかっているわけだから触れないのもおかしいと思ったか、せっかくのロイヤルスイートの生活をまさか浅見さんにさせるのもおかしいと思ったのか、とにかく軽井沢のセンセがでづっぱり。日本の港で浅見光彦倶楽部会員がお見送りした情景などもしっかり書きこんで…。軽井沢のセンセが出るのは元々好きじゃない。そのうえ岡部警視まで引っ張り出して…。ちょっとはしゃぎすぎじゃないの?
 事件の方は、浅見さんにしてはなんともハギレの悪い玉虫色の解決で、どうも納得できない。犯行にいたる動機はともかくとして、罪は罪として罰してきたのが浅見さんだったはず。オリエント急行殺人事件がネタ本だってあからさまに書いてあるけれど、浅見光彦のファンってクリスティも読んでないほど勉強不足なわけ?
 世界一周クルーズも、この本では日本を出発して西回りにやっとムンバイ(昔のボンベイ)。この調子で続編で印税かせぐんだろうなぁ。内田康夫は当たりはずれの大きい作家だけど、これはファンサービスの余興だと思いたい。(2003.2.2.)




しまなみ幻想       内田康夫著   光文社
『〈母は殺された?…〉来島海峡大橋から飛び降りた母の死に疑問を持った少女。偶然、彼女と知り合った浅見は、その死の真相を調べるため、しまなみ海道へ。はたして浅見は、少女の希望の光となれるのか?』
 内田康夫最新刊。小品ではあるけれど読後感さわやか。少女・咲枝の人となりに拠るのだろうなぁ。しまなみ海道へ行ってみたくなる事請け合い。
 しかし、内田は臆面もなく浅見を誉めるようになったものである。浅見は登場以来33才で変わらないのに、甥っ子や姪っ子が微妙に年を重ねてる風なのはなぜ?(2003.2.3)







鯨の哭く海       内田康夫著   祥伝社
『展示された漁師の人形に突き刺された銛(もり)、それを凝視する不審な女性――。捕鯨発祥地・太地(たいじ)の「くじらの博物館」で浅見光彦は奇妙な場面に遭遇した。太地では、六年前、旧家の娘と新聞記者の心中事件があり、その後、現場近くで人形と同じように男が銛で刺殺されていた。これは何かのメッセージか? 心中の遺書と判断された「黒枠の招待状」に疑惑を抱いた浅見は、記者の出身地・秩父を訪ね、もう一つの殺人事件の存在を知る。やがて、「南紀」と「秩父」の事件は不思議な結び付きを見せる…。』
 関西に長く住んでいながら鯨肉についてあまりよく知らないのよね。いつの世も政治家のきな臭い話には事欠かないようで・・・。(2003.2.9)







マークスの山 上下      高村薫著   講談社文庫
『「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」―精神に「暗い山」を抱える殺人者マークス。南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。被害者たちにつながりはあるのか?姿なき殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。直木賞受賞作品。』
『殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事が見たものは…。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰。』
高村薫はすごい!な〜んて感想も芸がないけどね(笑) (2003.3.8)





世界をだました男
       フランク・アバネイル/スタン・レディング著   新潮社文庫
『20世紀最大の詐欺師―それはわたしだ。あるときはパンナムの副操縦士。あるときは病院のレジデント。あるときは法律家。またあるときは大学講師。偽造小切手だけで、21歳までに稼いだ金額はしめて250万ドル。全米50州はおろか、26ヵ国の警察から追われたが、美食もすてきな車も魅力的な女も豪奢な住まいも思いのままだった…。稀代の犯罪者が明かす、驚くべき至芸の全貌。』スティーブン・スピルバーグ、トム・ハンクス、レオナルド・ディカプリオのゴールデントリオが手を組んだ超話題の映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」のベストセラー原作。元・天才詐欺師の著者フランク・アバネイル氏の自伝的小説。 ちょtっと詐欺の手口が古めかしいかなぁ。現代では成功しないだろうなぁ。 (2003.3.30)







angels−天使たちの長い夜
       篠田真由美著   講談社ノヴェルス
『夏休み、人気のない校内で発見された身元不明の刺殺死体。電気錠で門は閉ざされ、残された高校生らは自分たちだけで犯人を名指そうとするが。殺人教唆のアジビラや家庭内の犯罪など、互いの暗部が事件に影を落とす中、ひりひりする推理合戦が展開する。蒼こと薬師寺香澄が登場する建築探偵シリーズの番外編』
 蒼、高3。彼の成長の軌跡がたどれていい。自分自身の高校時代とも重ね合わせてノスタルジックでもある。(2003.5.16)






ダビデの星の暗号       井沢元彦著   角川文庫
『25歳の新進作家・芥川龍之介は、友人の原田宗助から相談を持ちかけられる。宗助は伊達騒動で逆臣として討ち取られた原田甲斐の子孫であり、先祖の汚名をそそぐために、事件の真相が隠された暗号を解読してほしいというのだ。しかし間もなく、宗助は密室で死体となって発見されてしまう。彼の遺書に書かれた「すべての秘密はダビデの星に秘められている」という言葉。謎を追う龍之介を待ち受ける、国史をも揺るがす衝撃的事実とは?若き日の文豪・龍之介の推理が冴え渡る傑作歴史ミステリー。』
 いまいち(笑)(2003.6.2)





日本史の叛逆者 私説・本能寺の変
       井沢元彦著   角川文庫
『本能寺の変、未遂に終わる!間一髪で難を逃れた織田信長は、すかさず明智光秀を返り討ちに。さらには、羽紫秀吉らを率い、毛利氏、伊達氏、北条氏らを次々と軍門に降していく。そして天正十一年夏、ついに関白信長は“太陽城”の天守閣にて「日の本の統一」を天皇に報告した…。日本史ファンならば、一度は夢見る「信長、天下統一」。史実よりも痛快な、仮想歴史ロマンの傑作。』
 昔から織田信長好き!もし、は歴史では禁物だけれど、もし信長が生きていたら・・・ひとつの歴史だなぁ。パラレルワールド? 泣かぬなら殺してしまえほととぎす・・・(2003.6.9)





GEN 『源氏物語』秘録        内田康夫著   光文社
『国文学者・折口信夫のもとに、一通の手紙が届いた。差出人の貴宮多鶴子によると、貴宮家に代々伝わる『源氏物語』は、従来の五十四帖のものと異なり、十七帖しかないという。これは『源氏物語』の原型といわれる『原・源氏物語』なのか?折口の指示により貴宮家に出向いた若き国文学徒・角川源義は、源氏千年の歴史に、日本国家を揺るがす驚愕の事実が隠されていることを知る!―『源氏物語』多作者説を裏付ける『原・源氏物語』の存在を巡り交錯する謎を、独自の視点と卓越した想像力で解明した、長編歴史ミステリー。』
 源氏物語複数作者説 面白かった。(2003.6.10)



信玄の呪縛
       井沢元彦著   角川文庫
『「武田信玄の墓はどこにあるのか?」というテーマで討論をするため、諏訪湖の貸別荘に集まった典山大学歴史研究会のメンバー九名。しかし、その旅行を呼びかけた当人は姿を見せず、代わりに、鎧兜を身につけた武将姿の男が歴史研究会のメンバーに復讐を誓う内容のビデオが、別荘に届けられた。そして翌朝、女性メンバーの一人が槍で刺され死体となって発見される!だが、それは戦慄の連続殺人の幕開けに過ぎなかった…。武田信玄の屍の所在をめぐる歴史上の謎と、現代で繰り広げられる連続殺人の謎が交錯する、長編歴史ミステリー。』
 ミステリーとしてはぜんぜん面白くない。この人発想がいいだけなのねぇ(2003.6.12)




天皇になろうとした将軍        井沢元彦著   小学館文庫
『なぜ戦乱記を「大平」記と記したのだろうか?金閣寺に塗り込められた足利義満の「野心」、金閣「寺」の命名に秘められた義満「暗殺」の真相、義満暗殺の「実行犯」と「大文字焼き」の秘密…。下克上の世に渦巻く権謀術数の闇を、日本史の“なぜ?”に挑み続ける著者が歴史推理の大ナタをふるい白日のもとにさらす』
 へぇ〜の連続。(2003.6.11)




タイムマシンをつくろう       ポール・デイヴィス著   草思社
『アインシュタインからホーキングまでの現代物理学理論を駆使、もっとも現実的なタイムマシンのつくり方を考える。』
 物理学者が本気でタイムマシンの作り方を考えてます。その分、内容はかなり小難しいんだけど、例えなんかも入れてかなり一般人にもわかりやすいように工夫されてるし、訳もうまい!SF小説で一番ありえないなって思ってたのはタイムマシンだった私には面白かった♪(2003.6.30)






死人主催晩餐会       ジェリリン・ファーマー著   ハヤカワ・ミステリ文庫
『わたしの名前はマデリン。ハリウッドてパーティの企画や料理のケータリングをしている。今日の仕事は大物プロデューサーのブルーノが主催するハロウィーンパーティ。盛況のうちに終わると思われたその時、突如悲鳴が。ブルーノが誰かに毒殺されたのだ。キッチンにいた同僚が疑われ、わたしは犯人探しに立ち上がる。ケータリング探偵マデリンが活躍するレシピ満載のおいしい新シリーズ。マカヴィティ賞最優秀新人賞受賞作。』
 コージー系。ケータラーは二人目だけどなんでかぶったのかなぁ。ミステリー的には無価値(笑)コージーに誰もそんなもの期待しないけどぉ。コージー的には面白いと思うよ〜。(2003.7.1)



殺人現場で朝食を     ジェリリン・ファーマー著   ハヤカワ・ミステリ文庫
『ケータリングを中心としたイベント企画をするわたしに、ロサンゼルスを訪れた教皇さまの歓迎朝食会というビッグな仕事が舞い込んだ。準備のために昔のレシピを調べていたら殺人を告白するメモを発見し、好奇心に負けて調査をすることに。ちょうどその頃、朝食会の協力者が撮影所の見学中に殺された。犯人はすぐ捕まったけどなんだか不吉な予感…ケータリング探偵マデリンが奮闘する、くいしん坊のためのシリーズ第2弾。』
 実は期待薄で読み始めたのだけれど、調子がでてきたのか面白い。歴史ミステリーの要素が増えて、ナチスとカトリックの動向とか、ロシアの失われた財宝とか…。マデリンの性格が好きというか似てる・・もちろん私に・・。邦訳はここでストップ。本国では5冊目がもうすぐ出るとか・・・。(2003.7.2)






猫は火事場にかけつける       リリアン・J・ブラウン著   光文社
『十月末、干ばつに襲われたムース郡では火事が相次いでいた。もと新聞記者のクィラランをはじめ住民たちは、ヴォランティアを組織して火災監視にあたる。そんななか、シャム猫ココが窓際で鼻をひくつかせた夜、古本屋が火事に見舞われた。自然発火にも見えたが実は放火だったのでは?クィラランの疑念に追い討ちをかけるように、ヴォランティアの一人が何者かに殺されて…ココのよく利く鼻が隠れた真相を嗅ぎつける。』
 シリーズ23作。内容は言わずもがな(笑)(2003.7.3)






ダーウィンの使者       グレッグ・ベア著   ソニーマガジンズヴィレッジブックス
『世界各地に蔓延する謎の奇病…“ヘロデ流感”。ヒト内在性レトロウイルスを起因とし、性交渉によって感染するそれは、妊婦のみを襲い流産を引き起こすという、人類の存続をも脅かすものであった。太古の時代と現代をむすぶ、ヒト遺伝子にかくされた驚愕すべき真実とは?はたして人類になにが起ころうとしているのか!?クライトンのサスペンス、クラークの科学的思弁が融合したグレッグ・ベアが描く遺伝子サスペンスの最高傑作。』
『“ヘロデ流感”の治療法を求めて、ヒト遺伝子に秘められたレトロウイルスの解明を続ける分子生物学者のケイ、人類学者のミッチらであったが、やがて患者たちには性交渉を経ない“第二の妊娠”の兆候が…。新たなる進化に直面することとなった人類社会の動揺は、やがて文明そのものを揺るがす異常事態へとエスカレートしていく。かつて誰もが予想しえなかった人類の起源、そして未来―巨匠ベアが描く人類進化の新たなるヴィジョン、完結編。』
 上下2冊で中身も濃くて読み応えがありました。ダーウィンの進化論では説明できないことがあるなと思っていたので(猿と人の間にはどうしてこんなに開きがあるのか・・とか)進化の新しい考え方が面白かった・・。近未来SF遺伝子モノです。(2003.7.9)



誰が歴史を歪めたか 日本史の嘘と真実       井沢元彦著   祥伝社黄金文庫
『丁々発止!歴史の真の姿に迫る徹底討論。日本史を読み解く鍵は怨霊信仰、「江戸」のイメージは虚像に満ちている、“戦前真っ暗説”は嘘に満ちた戦後教育によるもの…教科書にけっして書かれない日本史の実像と、誰もが見過ごしてきた歴史の盲点に鋭く迫る対談集』
第1章 怨霊信仰が歴史の真実を浮かび上がらせる―ゲスト梅原猛
第2章 邪馬台国は九州か?―ゲスト森浩一
第3章 中国を無視して日本の歴史は語れない―ゲスト陳舜臣
第4章 古代史の舞台裏に垣間見える女性の姿―ゲスト小松左京
第5章 日本の宗教は怨霊宗教である―ゲスト小室直樹
第6章 歴史から抹殺され続けた東北の叫び―ゲスト高橋克彦
第7章 誤解だらけの江戸を斬る―ゲスト田中優子
第8章 「戦前は真っ暗だった」それは嘘である―ゲスト山本夏彦
第9章 昭和天皇は2人いた―ゲスト半藤一利
第10章 遠く離れてしまった隣国―ゲスト呉善花
 教科書に書かれている"歴史"ではなく、いろいろな見方があると改めて感じる・・・。興味のある時代についてこの対談相手の本を読み進んでいくのも一興かと・・・。(2003.7.10)




王妃の離婚       佐藤賢一著   集英社文庫
『1498年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ち上がる。かつてパリ大学法学部にその人ありと謳われた青春を取り戻すために。正義と誇りと、そして愛のために。手に汗握る中世版法廷サスペンス。第121回直木賞受賞の傑作西洋歴史小説。』
 中世のフランスが舞台のリーガルミステリー(法廷もの)
史実とどうかってことはわからないんだけど、私の常識の範囲内では齟齬がなくて面白かった!(2003.7.15)


ジャガーになった男       佐藤賢一著   集英社文庫
『伊達藩士・斉藤小兵太寅吉は恋人を捨て、冒険を求めて、支倉常長遣欧使節に加わった。着いたイスパニアはすでに全盛期の栄光を失っていたが、一人のイタルゴ(戦士)と意気投合し、共に戦場に赴くために、帰国する使節団と訣別する決心をする。壮大なスケール、波瀾万丈の歴史ロマン。第6回小説すばる新人賞受賞作に大幅加筆、600枚の長編となったロング・バージョン。』
 江戸幕府初期支倉常長の遣欧使節団に同行した武士がそのまま日本に帰らずにスペインに残って、最後はメキシコの原住民のために戦ったという設定の物語。実際「ハポン」(JAPAN)という姓の人たちが存在する。なかなかストーリーとしては面白いんだけど、設定が無茶やろと思うのと、細かいニュアンスを文章の機微で表すのではなくて、主人公の独白ですませちゃってるという欠陥はあるなぁ(2003.7.17)





慟哭       貫井徳郎著   創元推理文庫
『連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。』
 慟哭、いちおう本格になってるけど、そうかな。意外なトリックっていうことで注目されてるみたいだけどトリックはわかった。でもサスペンスの盛り上げと文章力がすごい。これがなんと25歳のときの処女作っていうんだから、もう・・・。この世代って新本格でトリックのためのトリックを玩んでるのがせいぜいだと思ってたのに・・・。(2003.7.18)






迷宮遡行       貫井徳郎著   創元推理文庫
『平凡な日常が裂ける―。突然、愛する妻・絢子が失踪した。置き手紙ひとつを残して。理由が分からない。失業中の迫水は、途切れそうな手がかりをたどり、妻の行方を追う。彼の前に立ちふさがる、暴力団組員。妻はどうして、姿を消したのか?いや、そもそも妻は何者だったのか?絡み合う糸が、闇の迷宮をかたちづくる。『烙印』をもとに書き下ろされた、本格ミステリーの最新傑作。』
第2作を最近大幅修正して文庫入りしたもの。ん〜〜、暴力団闘争に巻き込まれた非力な男が変わってくってストーリーだけど、ちょ〜っとプロットに無理があるかなぁ。必然性が伝わってこない。 (2003.7.18)




イエスのビデオ       アンドレアス・エシュバッハ著   ハヤカワ文庫
『イスラエルの遺跡発掘に参加した学生スティーブンは、一体の人骨と副葬品の布袋を発見した。袋の中にはビデオカメラの説明書が…人骨はたしかに2000年前のものだったが、現代医学の治療跡があった。この人物は過去へ片道の時間旅行をしたのか?ではカメラを見つければ、驚異の映像がそこに?メディア王は映像を独占すべく私兵を投入し、一方バチカンの秘密部隊が現われ、発見者スティーブンとの壮絶な三つ巴戦に!』(上)
『謎のビデオを追うスティーブンは嘆きの壁に秘密が隠されていることを突き止める。そこには現世から完全に隔離された古い修道院があった。ビデオはここで守られてきたに違いない。ついに映像が見られると興奮する彼に、メディア王の放つ私兵と、バチカン秘密部隊の恐るべき魔手が追っていた。ロマン眠る砂漠の地を舞台に展開する、壮大な冒険小説。ドイツ・エンターテインメント小説の最高峰クルト・ラスヴィッツ賞受賞作。』(下)
 ドイツのSF。ドイツはめずらしいわね。訳がまずい。。。でも面白かった。紀元ごろのイスラエルの遺跡から、現代人の遺骨と、まだ売り出されていないビデオカメラの説明書が発掘される・・・。タイムトラベラーのものか・・・。そのビデオには生きているイエスの姿が・・・。イエスは私にとって謎の人物なのだけれど、こういう解釈もあるってすてき!(2003.7.31)






老人たちの生活と推理       コリン・ホルト・ソーヤー著   創元推理文庫
『砂浜におりる階段の下にころがった死体がアンジェラのものなら、誰もが他殺と決めてかかり、少しも驚かなかったろう。たとえ全身に蜂蜜を塗りたくられ蟻塚の上に縛られているのを発見されたとしても、ショックを受けるのは仲のいい数人だった。だが、死体の主はぼんやり者のもと司書で…?尽きせぬユーモアとペーソスで年寄り一同の生活と推理を綴る、老人本格推理の妙味。』
 ユーモア・ミステリーってことになってる。ユーモアってニヤッって感じでしょう?これはブッって感じ(笑)
電車の中では読むのやめた方がいいかも・・・。ま、私が老人に近いってことかもしれないけどぉ(あ、ほんとの老人は自分が笑われている感じがするかなぁ)笑ってばかりはいられない、事は殺人!笑わせて泣かせて・・うまい!(2003.7.25)





氷の女王が死んだ       コリン・ホルト・ソーヤー著   創元推理文庫
『誰彼なしに顎でつかい、お高くとまった言動は数知れず。新参者でありながら、嫌われ者を選ぶコンテストがあればエイミーはぶっちぎりで優勝したに違いない。そんな彼女が六月の早朝、体操用の棍棒で撲殺される。多すぎる容疑者―だが、誰がそこまでしたいと思ったろう?困惑する捜査陣を尻目に、アンジェラたちはまたも探偵活動に乗り出す。』
 快調にお話は進んで・・・。高級老人ホームのお話なんだけど、もうお食事がおいしそうで・・・。こんな老人ホームに暮らせるのなら年をとるのもいいかなぁ。でもこんなに次から次へと殺人事件が起こるなんて老人ホームじゃなくても怖い?(笑)(2003.8.3)






フクロウは夜ふかしする       コリン・ホルト・ソーヤー著   創元推理文庫
『一人目は自販機業者、二人目は庭師…。お年寄りが優雅な老後を過ごす高級老人ホーム“海の上のカムデン”で連続殺人が発生。事件の手掛かりを掴もうと、アンジェラたちはさっそく行動を開始した。刑事がいくら危険だ邪魔だ迷惑だと言って聞かせたところで、もちろん思いとどまってくれるはずもない。元気いっぱいの老婦人たちが、探偵きどりで連続殺人の謎に挑戦。』
 面白いんだけど、3冊も続けて読んだのは間違いだったかなぁ。ちょっと小粒だし、誰が犯人かはすぐわかっちゃうしね。これは今年の3月に出た分だから、しばらく訳本が出るまでおあずけだからちょうどいいかも〜(笑)(2003.8.5)






最悪   奥田英郎著   講談社文庫
『不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説、待望の文庫化。』
 町工場の社長、女子銀行員、チンビラの三人の生活がオムニバスで描かれてると思ったらある1点で収束するんだけど、本の解説までは読まなくても、普通裏表紙の説明は読んでから本編を読むわけで、そのある1点で収束するってことを待ちながら読み続けるわけなのね。これって読者にとっても作家にとっても不幸かもしれない・・・。逆に待ち続けるから読み続けられるとも言えるわけだけど・・・(私の場合はこっちだったかな) 登場人物三人がそれぞれおばかなもんで誰にも共感できなくて、読み終わって「他にやり様はなかったんかい!(怒)」と思って題見て、妙にナットク(苦笑) これがベストセラーになってるんだなぁ。
 自分がどうしてミステリーが好きなのかよくわからなかったんだけど、「探偵」も「犯人」も頭がいいからかもしれない。読み終わった時点ですっきり片付いているしねぇ。(2003.8.14)




ベストセラー「殺人」事件  エリザベス・ピーターズ著   扶桑社ミステリー
『世紀の大ベストセラー『氷のなかに裸で』の原作者キャスリーンの失踪から七年後、続編の出版が決定した。厳選なる審査のすえ、続編の執筆者に抜擢されたジャクリーン。彼女はよりよい原稿を仕あげるべく、原作者が暮らしていた田舎町に活動の拠点を移した。だが、過去の資料をひもとくにつれ、彼女に関する謎は深まるばかり。しかも、偶然とは思えない事故が重なり、ジャクリーンの身に危険がせまるようになり…。1989年度アガサ賞受賞作、本格ユーモア・ミステリー。』
 シリーズ3作目らしいんだけど、読んだのは初めて。真面目な図書館司書だったジャクリーンがとんでもない作家さんになってるって設定。USAの出版界の裏側や、作家の制作過程なんかも垣間見えて面白い。
 「氷のなかに裸で」は誰のなんていう作品のもじりなんだろうねぇ?ロマンス小説って分野は全く読まないのでわからないんだけど、元本はあるんだろうなぁ。(2003.8.19)




女探偵の条件   ケイティ・マンガー著   新潮文庫
『でかい、強い、抜け目ない。だが、ケイシー・ジョーンズの人生はツイていなかった…。男に騙され、犯罪の片棒を担いで前科者に。そのために探偵の免許を取れず、他人の下請けに甘んじている。今度の仕事は女性議員のボディガード。その議員の愛車で死体が発見され、捜査の依頼を受けたケイシー。自分自身を唯一の武器にして、知恵と度胸で警察を尻目に真犯人を追い詰めていく。
 ヴィクもキンジーも新作出ないもんでねぇ(笑)女探偵ケイシー、なかなかいいよ〜。長いつきあいになりそうだ・・・。これが1作目。舞台はニューヨークでもロサンゼルスでもなく南部ノースカロライナ州のローリー。「風とともに去りぬ」が永遠の愛読書の私には今の南部も面白かった。しかし、この題のつけ方なんとかならんもんかねぇ。編集者のセンスを疑う・・・。(2003.8.21)





チョコチップクッキーは見ていた  ジョアン・フルーク著   ヴィレッジブックス
『ハンナはお菓子作りの腕をいかして、世界一おいしいクッキーを出すお店を経営している。店の評判は上々、地元の人たちのくつろぎの場として愛されていた。そんなハンナの悩みといったら、「結婚しなさい」とうるさい母親くらいのもの。忙しくものどかな毎日だったが、ある日、店の裏手で牛乳配達人の死体が発見され、町は大騒ぎに。義弟である保安官助手に捜査を手伝うと約束してしまったことから、ハンナは自慢のクッキーを手に町の人たちへの聞きこみを始めた。おいしいものの前ではだれしも口が軽くなる。思わぬ名探偵ぶりを発揮するハンナだが…。甘くコージーなお菓子ミステリー・シリーズ第一弾。』
 これぞコージーものって感じ!クッキーやさんでケータリングもしてる。
読んでて楽しいんだけど、出てくるクッキーがあまりにおいしそうで・・・おまけにレシピまでついちゃって・・・(^。、^)ジュルジュル・・・次作はストロベリーショートケーキらしい。。。ダイエットの敵だわ(爆)(2003.8.21)




ストロベリーショートケーキが泣いている  ジョアン・フルーク著   ヴィレッジブックス
『』
 (2003.8.23)











玲子さんのラクラク手作り教室   西村玲子著   講談社文庫
こんなにラクして楽しくって、いいの!?思い出の布のかけらはつないで、やんちゃなキルトに。ラッピングリボンはバッグに。 大事で捨てられない布や毛糸、ボタンやビーズが21世紀風キュートな作品に大変身!! 手作りは人生に似て未完こそ味わい。やりすぎにご用心、と玲子さん。 自由で楽々、遊び心溢れる手作り集。アイディア満載、うれしい文庫書き下ろし。
 西村玲子さんって一種カリスマだけどねぇ。どうもはまらない・・・。これもふ〜んって目を通しただけ。ごめんなさい。(2003.8.24)





13羽の怒れるフラミンゴ
  ドナ・アンドリューズ著   ハヤカワ文庫
『故郷の記念祭にわたしは鍛冶職人として参加することになった。実行委員長は恋人の母親で植民地時代風祭典にするとはりきっておりこき使われるほうは大迷惑。が、祭りの効果でわたしの作品の売上げは好調、鉄製フラミンゴの出来も上々だ。そんな折、わたしのブースになぜか他殺体が。未来の義母にどうにかしろとせっつかれ、嫁姑版仁義なき戦いもやむなし?!素人探偵メグと奇人変人大集合で贈る、抱腹絶倒のシリーズ第3弾。』
 どたばたどたばたですごい!ちょっと五月蝿くなってきたなぁ(2003.8.24)





リチャード3世「殺人」事件
  エリザベス・ピーターズ著   扶桑社ミステリー
『幼王を殺害し、王位を簒奪した、英国史の極悪人リチャード三世。だが、彼の無実を証明する新たな史料が発見された!そのお披露目会が開かれる屋敷には、愛好家がリチャード三世にまつわる歴史上の人物に扮して大集合。ところが、参加者に次々と災難が降りかかる。しかも、各人が扮した人物の実際の死にざまを想起させるような形で…何者かがリチャード三世の殺人を再現しようとしているのか?MWA巨匠賞に輝くエリザベス・ピーターズが『時の娘』にオマージュを捧げた、伝説的名作。』
 ベストセラー「殺人」事件のジャクリーンがまだ図書館の司書をやってたころのお話。すっかりジャクリーンのファンになってしまった。本国では巨匠になっているほどの(当然著作はたくさん)エリザベス・ピーターズなのに、なぜか日本で翻訳されてるのはこの2冊だけ。。。おかしいよねぇ(笑)(2003.8.24)




七つの金印 日本史アンダーワールド