第4章  色のイメージ

春のイメージでキルトを作ってみましょう、という時、
どんな布を最初に手に取りますか?

色は人間の感情に働きかける作用があります。
地域、民族、年齢、性別等により色彩に対する感情も多少違いがあるのですが
一般には次のような感情を呼び起こすといわれています。
色の感情作用といいます。

表現したいイメージがあって配色に取り組む時には、客観的に色のイメージを
とらえる力を持っていないとなかなかそのイメージは伝わりません。
色のイメージを勉強してみましょう。






寒い・・・青・青緑など
  暖かい・・・赤・橙など
    黄緑・紫・無彩色は寒暖の感じが曖昧

軽い・・・明度の高い色
  重い・・・明度の低い色
   (左下図の縦軸)

派手・・・高彩度の色
  地味・・・低彩度の色
   (左下図の横軸)

興奮・・・暖色系で高彩度の色
  沈静・・・寒色系で低彩度の色。

進出(膨張)・・・暖色系・高明度・高彩度
  後退(収縮)・・・寒色系・低明度・低彩度




色は見る人にその色と関連のあるイメージを
思い起こさせます。
色の連想作用といいます。


太陽・火・血・革命・
健康・情熱・歓喜
清涼・・知性・落ち着き・
忠実・希望・理知
陽気・活発・元気・
喜び・暖かい
高貴・神秘・女性的・
気品・優雅・不安
健康・明朗・明るい・
楽しい・陽気・軽快
清純・清潔・神聖・
実直・純粋
若さ・新鮮 落ち着き・不安・迷い・
憂鬱・地味・あいまい
平和・安全・平静
安らぎ・うるおい
不安・死・陰鬱・不信感・
罪悪・静寂




同じトーンの色は色相が変わっても
その色調のイメージは共通しています。
トーンの連想作用といいます。



ホワイト
清潔な・冷たい・新鮮な
Gy グレイ
スモーキーな・しゃれた・さびしい
Bk ブラック
高級な・フォーマルな・シックな

ビビットトーン
冴えた・鮮やかな・目立つ・いきいきした
ストロングトーン
強い・くどい・情熱的な・動的な


ブライトトーン
明るい・健康的な・陽気な・華やかな
Lt ライトトーン
浅い・澄んだ・子どもっぽい・さわやかな
ペールトーン
薄い・軽い・あっさりした・弱い・女性的

Lgr ライトグレイッシュトーン
落ち着いた・渋い・おとなしい
Sf ソフトトーン
やわらかな・おだやかな・ぼんやりした
Gr グレイッシュトーン
濁った・地味な
ダルトーン
鈍い・くすんだ・中間色的

Dp ディープトーン
深い・濃い・充実した・伝統的な・和風の
Dk ダークトーン
暗い・大人っぽい・丈夫な・円熟した
Dgr ダークグレイッシュトーン
陰気な・重い・固い・男性的





第5章  配 色



ある色に何色を組み合わせたら調和するのでしょうか?
一般的に次のように言われています。

   
   ■色彩調和の類型

      色相による
          同系・類似の調和
          対照の調和

      トーンによる
          同系・類似の調和
          対照の調和

      

           



■色相を基本にした配色方法
 
左の色環で考えます。
同系・類似の調和
  
色相が同じか近い色同士で配色します。おとなしく無難な配色が得られます
   
いわゆる同系色の配色です。
   
変化に乏しくなりますからトーンを変化させます
・対照の調和
 
色相が遠い(色環で120度以上離れている)色の組み合わせです。165度以上離れている(色環で向かい合う)色を補色といいます。お互いに対立し主張しあいますから、トーンを変化させて調和させることが必要です。


これらを総合して、色環を利用して以下のルールで色を組み合わせると良い配色ができます。
  • 反対側に位置する2色の組み合わせ・・・コントラストの強い配色になります。
  • 正三角形や二等辺三角形の位置にある3色の組み合わせ・・・それぞれの色の個性を発揮した感じになります。
  • 正方形や長方形の位置にある4つの色の組み合わせ・・・類似した2ずつの色の組み合わせになり、多色使いの中でも調和が取れます。
この方法で全てが解決するわけではありませんが、配色の基本として知っておかれるとよいでしょう。
第6章に実例を挙げています。




これはUSAのKeepsake Quiltingというパッチワーク専門の会社のカタログに載っているものですが、11色の色環で1つのメインカラーを選んだら2,3,4色の似合う色を選べるというものです。
中心の円盤が回り、三角や四角の頂点がそれにあたります。


■トーンを基本にした配色方法
・同系・類似の調和  
トーン配色は色相が変わってもその感情効果は共通していますので(トーンの連想作用)自分が思い描くイメージ表現をするための配色を考える時に適しています。

・対照の調和
明度方向、又は彩度方向に1つないし2つトーンをとび超えた配色方法です。
色相が同系・類似の配色に変化をつけるときや、立体感を出したい時に使います。







トーンの差をつけて模様を造り出す最もポピュラーなキルトがログキャビンです。
組み合わせによって色々な模様を作り出します。

これはパンドラの箱ですが、等間隔に3段階の明度差を付けて組み合わせることによって立体感を出します。
インナーシティーやカレイドスコープも同じです。







TEA TIME

プリント柄の名前




代表的なプリント柄を集めてみました。

リバティプリント
1874年に創立されたロンドンのリバティ社製のプリント柄を言います。小花が密に配置されている全面柄を指します。
ロココ様式の花柄
リボンをあしらった花束、流麗な曲線の茎や蔓、それにバラのブーケといったように優美で華麗な筆致で表現された花柄模様
トロピカルパターン
南国の植物、花、果物などを大胆に取り入れた柄の総称
更紗(さらさ)
幾何柄や花、鳥、人物などをモチーフに捺染した柄。世界各地にそれぞれの民族性を生かしたものがあります。
アール・ヌーボー・パターン
モチーフに花・葉・茎などの植物が用いられ、流れるような曲線で表現されているのが特徴
アール・デコ・パターン
1920〜35年ごろ流行した装飾様式。直線的で幾何学的な模様が特徴
フィギュラティブ・パターン
花・草木・動物・風景・乗り物・時計・人物などをモチーフにした具象柄のこと
メルヘン調パターン
ロマンティックな雰囲気を持った花・木・少女などをモチーフにした表現様式