第6章 配 色 の 実 例




具体的にキルトの実例を見てみましょう


同一色相・対照トーンの配色例
      

赤(R)の色相の中から
色を選んでいます。
それだけでは変化に乏しくなるので、トーンで変化をつけて色調を変えています。





類似色相の配色例



青(B)を中心に
青緑(BG)、青紫(BV)、紫(V)の各色相の中から選んでいます。
トーンの変化にも気づいていただけますか?



対照色相の配色例

(補色配色)

色環で120°以上離れた色の組み合わせです。
右の例は俗に反対色といわれている補色同士の配色で、黄色(Y)と紫(V)の2色相から選んでいます。






橙(O)と青(B)の配色例です。

このように、補色配色の場合、お互いが主張しあいますから、トーンで変化をつけたり、片方をアクセントカラーとして、少量を合わせるとよい配色になります。



三色配色の配色例

色相環で離れた3つの色、橙(O)・青緑(BG)・赤紫(RV)を組み合わせています。
少しクラシカルなイメージになる配色です。



分裂補色の配色例


対照配色の片方の色をその色の両隣の色相に2つに分けてしまう方法です。
ここでは、赤紫(RV)の補色・黄緑(YG)を黄色(Y)と緑(G)に分けています。







ここでは、青(B)の補色・橙(O)を赤橙(RO)と黄橙(YO)に分けています。

効果としては、三色配色より補色配色に近いものです。




補色の両方を分裂させた配色です。
赤橙(RO)を赤(R)と橙(O)に、青緑(BG)を青(B)と緑(G)に分けています。






これは、赤(R)を赤紫(RP)と赤橙(RO)、緑(G)を青緑(BG)と黄緑(YG)に分けています。

安定感のある配色を見つけやすい組み合わせではないでしょうか?



4色配色

色環を四等分した4つの色で構成されています。
多色使いのプリント布はほとんどこの配色に拠っています。





多色配色


色環のすべての色を使っていてもまとまりを感じるのは、トーンを統一しているからですね。








第7章 私 の 配 色 作 法




では具体的にどのように配色を考えていったらよいのでしょうか?

私の場合は、分裂補色の四角形(色環の中で長方形を描く)で配色を考えています。
だいたいは、まず、基調となる色相から70%、それに近い色10%、反対色の2色は10%ずつの割合にしています。
基調色は、配色の中心となる色で、全体のイメージを作るために、同じ色相の中から様々なトーンの色を選びます。
アクセントカラーとしての他の3色はトーンを落として(彩度の低い色)選びますが、ごく少量ビビットな色が混じるのも面白いものです。(ピースひとつでは多すぎる時は柄の1部でも)
音楽の不協和音の面白さと共通していますね。

配色の美しさを決めるのは、統一と変化のバランスです。
統一の要素が多い配色は、まとまり感は強いものの、穏やか過ぎて面白みがありません。かといって、変化の多すぎる配色は、刺激的過ぎて落ち着きません。
そのバランスをどう取るかは、個人の嗜好の問題だと思います。香辛料の多いお料理を好きな人も嫌いな人もいるように、そのバランスをどの位置で取るかは個人個人の好みですね。また時と場合、作る目的によっても、そのバランスの位置は変わってくるでしょう。

まずは模倣からはじめましょう。
パッチワークの作品展や本などで好きな作品に出会ったとき、どこが好きなのか考えましょう。
どんな布が使われているのか?色は?柄は?全体のトーンは?ポイントカラーは?・・・じっくり眺めてください。
その作品の配色全体の雰囲気や特徴を支配しているものは何か、どこが好きなのかをしっかり感じ取ることが大切です。それはパッチワークの作品に対してばかりではありません。絵でも風景でも街並みでも商品のパッケージでも、自分がいいと感じたものすべての"色"を感じ取ってください。
そしてそれを布という絵の具で再現しようと試みる、その過程の中から私の色が生まれてくるように思います。
確かに生まれつきその才能があるかのように見える人たちもいます。
でもそれは決して元から備わっているものではないのです。無意識のうちに周囲の色を観察する習慣が備わっているに過ぎません。
どうぞ意識して、周囲の色を観察してみてください。いろいろな発見があるはずです。
その中からあなたの、あなただけの私の色を見つけていかれる事を祈っています。


下に、参考にし、また引用させていただいた文献を載せております。ありがとうございました。
色については奥深く、とてもこのようなスペースで語り尽くせるものではありません。

詳しくお知りになりたい方は下記の参考書等がその助けになるでしょう。

ここまでお読みいただいて、ほんとうにありがとうございました。
つたない文章で、意味の良く通らないところ、誤記等あるかもしれません。
ご指摘いただければ幸いです。


配色には、絶対的な正解もない代わりに、絶対的な間違いもありません。
さあ、"私の色"を見つけるために、Let's go!








参考・引用文献 (題名、著者名、出版社の順)

やさしいマンセル色彩学  佐藤利夫著  日本色彩
色彩能力検定対策参考書  A・F・T制作
色彩科学ハンドブック  日本色彩学会編  東京大学出版会
JIS標準色票  JIS標準色票委員会 日本規格協会
建築デザイン色票  日本色彩研究所編  日本色研
カラーリストー色彩心理ハンドブック  小林重順著  講談社
色の科学 その精神物理学  金子隆芳著 みすず書房
パッチワーククラブ3号  ハーツ&ハンズ著  鎌倉書房

Color  Christine・Barms著  ThatPatchworkPlace社
色彩のヒント 柏木博著 平凡社






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